研究課題/領域番号 |
09610398
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
西嶋 有厚 福岡大学, 人文学部, 教授 (70078468)
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研究分担者 |
星乃 治彦 熊本県立大学, 文学部, 助教授 (00219172)
前間 良爾 九州情報大学, 経営情報学部, 教授 (10039365)
松塚 俊三 福岡大学, 人文学部, 教授 (10165821)
河井田 研朗 福岡大学, 人文学部, 教授 (30078448)
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キーワード | ヨーロッパ / 民衆 / 宗教 / ドイツ農民戦争 / 小数区 / イギリス国民教育 / ウクライナ / ロシア |
研究概要 |
地域・民衆・宗教という歴史学の基礎的な概念からヨーロッパ史像を再検討する本プロジェクトは、分担研究者の協力により、以下のような成果を得た。(1)中世キリスト教世界の最底辺に位置する小教区がいかに形成されたかは、フランス・ガリカニスムの成立、ひいてはフランス・ナショナリズムの形成を理解する上できわめて重要な問題であった。(2)ドイツ農民戦争は帝国でも領邦国家でもない、「下からの」第三の道をとる可能性をもっていたが、結果的には、オランダやスイスの共同体的、同盟的モデルの国家形成には至らず、挫折したこと。(3)イギリスの近・現代国家は今日に至るまで、中央政府が教育の細部にまで統制権を行使する国家主導型の国民教育制度=state educathinを制度的に完成させなかったきわめて特殊な例であること。かつ、この特殊性こそは21世紀への新たな可能性=全ての個人・集団に開かれた新しいパートナーシップを生み出す逆説的可能性であること。(4)第二次大戦中にはソヴィエトの支配に抗して戦った「ウラーゾフ軍」の分析を通じて、これまでほとんど解明されることがなかった複雑なウクライナ・ロシア関係史の一端が明らかにされた。新たなヨーロッパ史像を構築するには、依然として多くの問題が残されているが、ヨーロッパ史像を多様性と統一性の両方においてとらえる一つの試みであったと確信する。
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