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1998 年度 実績報告書

7〜9世紀における有力氏族の居宅の諸形態と宅地

研究課題

研究課題/領域番号 09610404
研究機関滋賀大学

研究代表者

小笠原 好彦  滋賀大学, 教育学部, 教授 (00000480)

キーワード有力氏族 / 居宅 / 外部施設 / 建物配置 / 主屋 / 官衛建物 / 倉庫 / 庇付建物
研究概要

今年度は、有力氏族の居宅に対し、古墳時代の豪族居館を構成する要素を分析し、それらのうち、7世紀以降の居宅に継続するものと、つながらない要素を明らかにする作業を行った。古墳時代の豪族居館では、堀、柵(塀)などの外郭施設が一般的にともなっている。しかし、7世紀以降の有力氏族の居宅は、藤原京、平城京などの都城に構築されたもの以外は、外郭施設をもつものがきわめて少ない。建物構成では、中心建物の主屋と付属する脇屋的なもの、その他の付属的建物、倉庫などから構成される。主屋は4面に庇をつけるもの、2〜1の庇をつけるもの、庇をもたないものなどがある。また、倉庫を併設した居宅資料も8世紀では乏しい傾向がある。
主屋と付属的建物の配置関係は、南北棟あるいは東西棟という方位によって性格が異なることが想定される。一方、8世紀以降の有力氏族の居宅関連遺跡では、各地で検出されている地方官衙の施設と区別することが難しいものが少なくない。古代の郡衙を構成する館の構造は、有力氏族の居宅構造と構成要素が共通する点が少なくないので、官衙と有力氏族の居宅を構成する特徴と諸要素の検討を行った。これには居宅固有の建物配置、建物規模、庇付建物の位置、区画施設、空間規模などの諸点から検討作業を進めた。また、中国、朝鮮の影響を考えるにあたって、中国の関連資料の検討を南京博物院、南京市博物館で行った。その結果、古墳時代の家形埴輪に中国南朝の陶屋の影響を確認することができた。また、家屋文鏡に描かれた建物にも、大陸の影響が顕著にみられることを知った。これらの点からみると、8世紀の居宅を構成する諸要素にも唐、新羅からもたらされた要素が少なくないものと想定される。なお、河内の有力氏族が居住した地域と発掘遺構資料の検討を行ったところ、船橋廃寺の造営氏族に関する知見を得たので、『考古学研究』179号に公表した。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (1件)

  • [文献書誌] 小笠原好彦: "河内船橋廃寺の性格と造営氏族" 考古学研究. 第45巻第3号. 66-87 (1998)

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公開日: 1999-12-11   更新日: 2016-04-21  

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