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1998 年度 実績報告書

人骨および人骨付着昆虫遺体からみた古墳時代モガリの研究

研究課題

研究課題/領域番号 09610407
研究機関九州大学

研究代表者

田中 良行  九州大学, 大学院比較社会文化研究科, 教授 (50128047)

研究分担者 金 宰賢  九州大学, 大学院比較社会文化研究科, 助手 (70284560)
キーワード儀礼 / 埋葬 / 古人骨 / 古墳 / モガリ / 国家形成
研究概要

まず、記紀にあらわれるモガリは期間に長短があること、また、古墳主体部の墓墳周辺に存在する柱穴が「殯屋」であるという見解が一部で定説扱いされていることを確認した。このうち、古墳主体部周辺の柱穴については、柱穴が墓壙に切られた例もあり、墓壙内に石棺を囲んで掘られた例もあることから、造墓前や埋葬前の「結界」である場合があると考えた。この他にも、古墳築造時の作業用の覆い屋であるとの指摘もあることから、少なくとも「殯屋」は否定されることが明らかになった。
次に、松山市葉佐池古墳1号石室出土人骨付着のハエ蛹を実体顕微鏡下で観察した。その結果、ハエの種はニクバエ属とヒメクロバエ属のものであることが明らかとなった。この両者のハエの生態が、前者は死後すぐに死体にたかり産卵する一般的なハエであるのに対して、後者は死体が腐敗した後にたかり産卵する種であることから、葉佐池古墳1号石室出土人骨は、死後少なくとも1週間前後は、ハエが活動するような明かりのある場所に置かれており、埋葬されてはいなかったことが明らかとなった。また、えびの市島内地下式横穴墓において、埋葬後腹部に発生したガスによって骨盤腔外に排出された便が検出されたことから、ガスが腹腔内に充満する期間、おそらくは2〜3週間の間にはモガリを終えて埋葬されたことがうかがえた。
以上から、古墳時代のモガリは、古墳上で行われたものではなく、1週間前後以上で2〜3週間以内の間行われるのが通常であった可能性が高く、香川県宮ケ尾古墳線刻壁画のような小屋状の施設が、これらの所見に最もふさわしい「殯屋」のあり方であると考えられる。また、記紀に記載されたモガリ期間の長さは、死者の階層の高さに基づく墳墓築造と葬送儀礼の長さを反映したものと考えられる。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] 田中良行: "出自表示論批判" 日本考古学. 5. 1-18 (1998)

  • [文献書誌] 金宰賢: "東海市湫岩洞B地区古墳群の埋葬と副葬行為" 文物研究. 2. 27-50 (1998)

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公開日: 1999-12-13   更新日: 2016-04-21  

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