今年度の研究実績の概要は、オホーツク文化・擦文文化の地域戦略の特性に関する調査と歴史時代における環境変化に関す調査などをオホーツク沿岸域および内陸盆地を中心に実施した。オホーツク文化・擦文文化の地域戦略の特性に関する調査は、石狩川水系、天塩川水系、常呂川水系、十勝川水系、釧路川水系などと、名寄盆地、旭川盆地、富良野盆地などの遺跡の現地踏査お実施し、遺跡の立地環境についてのデータを収集した。 歴史時代における環境変化に関す調査は、北海道などの湖沼・河川・砂丘などの現地踏査を実施し、環境変化に関するデータを収集した。この調査で弥生海進期、古墳末海進期、オホーツク海進期などの温暖の痕跡を確認した。また、これらめ^<14>C年代値についても現在検討中である。その他、北東アジアを研究するロシアの研究者からサハリン・アムール川下流域の状況について、情報や文献等を収集した。 その結果、確実の北海道では、温暖と冷涼という環境の変化が小刻みに繰り返され、さらにサハリンにまで、その影響が及んでいた。特に北海道では、オホーツク文化と擦文文化の遺跡立地や貝塚などから地域戦略の差がうかがえた。したがって、今年度は「平安海進期の海流の復元」と「擦文文化遺跡の時空分布と移動」について検討した。 上記の調査内容をふまえ、平成11年度は東北〜北海道の太平洋沿岸域の地域を中心に現地調査を実施することとする。
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