今年度の研究実績の概要は、オホーツク文化期〜擦文文化期〜アイヌ文化期における防御性集落やチャシの立地に関する特性の調査と歴史時における環境変化に関する調査などを日本海沿岸域および内陸地で実施した。 オホーツク文化期〜擦文文化期〜アイヌ文化期における防御性集落やチャシの立地に関する特性の調査は、オホーツク文化、擦文文化の遺跡立地とどのようなかかわりがあるか遺跡の現地踏査を実施し、遺跡の立地環境についてのデータを収集した。 歴史時代における環境変化に関する調査は、2年間実施してきた調査の補足的な調査を海岸部や湖沼などで実施し、環境変化に関するデータを収集した。この調査で弥生海進期、古墳末海進期、オホーツク海進期などの温暖の痕跡はもとより、15〜16世紀の小温暖期と17〜18世紀の小氷期の存在を確認した。 その他、北東アジアを研究するロシアの研究者からサハリン・アムール川下流域の状況について、情報や文献等を収集した。 その結果、過去2、000年間の温暖と冷涼という環境の変化は、北方諸民族に与えられる影響は大きく、弥生海進期、古墳末海進期、オホーツク海進期では活発な人の移動がみられ、それにともない文化も大きく変化したことがわかった。また、15〜16世紀の小温暖期、17〜18世紀の小氷期では、移動範囲がせばまり固定化された文化が形成された。この時期、北海道では最も本州とのつながりが強くなる。 上記の調査内容ををふまえ、平成9年〜平成11年度の調査成果を総括する報告書を作成することとする。
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