先史時代における木材利用に関し、道央地域での日本海側と太平洋側との異差や時代的な変遷について明らかにすることを目的に、本年度は恵庭市域と札幌市域の遺跡を中心に調査を行った。 恵庭市域ではこれまで調査する機会のなかった近世アイヌ期の住居AH-5について調査することができた。 この地域でのアイヌ期住居については今のところデータが少ないので、今回の調査だけで木材利用の確たる状況を明らかにするには至っていない。あわせて、同カリンパ2遺跡の縄文中期PH-10住居について調査し、縄文中期の住居材料についてはトネリコ属材が中心となるであろうとのこれまでの考え方を補強することができた。 札幌市域では、擦文期前記から中期の札幌市K-435及びK-113の二つの遺跡の4住居について調査を行った。これらの4住居ともトネリコ属材を主体にして住居が造られ、日本海側での擦文期についてのトネリコ属材主体の考え方を補強できた。 その他、道南及び道北地域の3遺跡についても、参考データを得るために調査を行った。 〈調査データ〉 カリンパ2遺跡AH-5住居;ハンノキ属材(6割)、モクレン属材?(3割)、その他広葉樹材。 カリンパ2遺跡PH-10住居;トネリコ属材(8割)、その他クルミ属材、クワ属材など。 K-435の第18住居;トネリコ属材(6割)、その他ヤナギ属材、ニレ属材など K-113の第1住居;トネリコ属材(9割)、その他 同上 第2住居;トネリコ属材(8割)、その他ヤナギ属材 同上 第3住居;トネリコ属材(6割)、その他
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