先史時代における木材利用に関し、道央地域での日本海側と太平洋側との差異や時代的な変遷について明らかにすることを目的に、一昨年度来、遺跡発掘に際して発見される焼失家屋の住居跡から採取した炭化木材等について樹種同定を行ってきた。最終年である今年度は、苫小牧市域、千歳市域、江別市域に立地する主として縄文文化時代の遺跡を中心に調査を行った。 今年度の調査から、昨年度までの調査で明らかになった擦文時代の木材利用の地域性、すなわち太平洋側でコナラ節がまた日本海側でトネリコ属が多用される傾向が縄文時代においても同様であることが確認された。 <調査データ> 縄文時代 苫小牧市美沢10遺跡NO.2住居:コナラ属コナラ亜属コナラ節 5住居:ハンノキ属、ニレ属、シナノキ属 苫小牧市美沢11遺跡NO.9住居:コナラ節、ニレ属 24住居:ニレ属 26住居:コナラ節 15住居:ニレ属、コナラ節 7住居:コナラ節 10住居:シナノキ属、ヤナギ属 苫小牧市美沢3遺跡NO.1住居:コナラ節 江別市西野幌12遺跡NO.5住居:トネリコ属、カエデ属 擦文時代 苫小牧市美沢3遺跡NO.1住居:コナラ節、ハンノキ属、シナノキ属 千歳市末広遺跡NO.32住居:コナラ節、カエデ属
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