研究課題/領域番号 |
09610421
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研究機関 | (財)元興寺文化財研究所 |
研究代表者 |
山田 哲也 (財)元興寺文化財研究所, 保存科学センター, 研究員 (80261212)
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研究分担者 |
小田 寛貴 名古屋大学, 年代測定資料研究センター, 助手 (30293690)
中村 俊夫 名古屋大学, 年代測定資料研究センター, 助教授 (10135387)
塚本 敏夫 (財)元興寺文化財研究所, 保存科学センター, 研究員 (30241269)
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キーワード | 鉄製品 / 年代測定 / ^<14>C年代測定法 / 加速器質量分析法 / 炭素 / 製鉄 / 鉄塊 / 暦年代 |
研究概要 |
木炭を使用した製鉄法により造られた鉄製品は、その成分中に木炭の成分である炭素を含んでいる。したがって、鉄製品中の炭素の年代は、製鉄時に使用した木炭の年代に由来していると考えられ、この前提条件を用いて鉄製品の年代測定方法として^<14>C年代測定法が利用されている。昨年度の製鉄実験においては、その前提条件の有効性を認めることができたので、本年度の研究では、出土した須恵器から遺跡の年代を決めることの可能な製鉄遺跡出土鉄塊を用いて検証を行った。 年代測定用試料は、遺跡出土鉄塊(埋没中に表面がかなり錆化していたため、土壌等による炭素汚染の影響を考慮し、鉄塊中心部の金属鉄が完全に残っている部分を測定試料とした。)とその鉄塊中の錆に巻き込まれていた木炭片(製鉄時に使用したと考えられる。)を用いた。それらの結果、鉄塊とその錆中の木炭の年代は、ほぼ同一の年代を示した。また若干、暦年代の幅があるが、これらの年代と出土須恵器の形式からの年代とも大きく矛盾のない結果が得られ、遺跡出土資料からも、^<14>C年代測定法の根拠となる前提条件の有効性を認めることができた。 同様に鍛冶遺跡出土の鉄塊や製品についても検証を行ったところ、測定年代に測定誤差を越えたばらつきが見られた。これらのばらつきは、鉄製品の製作工程における鍛冶工程の時間差や空間差、各製作工程に用いる材料、更には、鉄製品の再利用等に起因するのではないかと考えらる。今後の課題として、加速器質量分析法による^<14>C年代測定法を有効的に用いてこれらの原因を解明して行くことが必要である。
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