研究概要 |
平成11年度はこれまで調査してきた国頭郡辺野喜・奥方言、島尻郡渡嘉敷村渡嘉敷方言及びその他の調査資料を整理分析し、まとめて論文化するとともに、これら調査資科との比較、さらには当研究の次への展開を目指して八重山郡竹富町西表組納方言の調査を実施した。これまでの調査成果は平成11年「研究成果公開促進費」の交付を受けて、『沖縄北部・南部方言の記述的研究』として公刊することになっている。さらに、科学研究費最終年度の「研究成果報告書」作成へ向けての研究も進めた。これまでの調査成果は前述の『沖縄北部・南部方言の記述的研究』及び「研究成果報告書」に委ね、ここでは平成11年9月4日から15日間かけて新たに調査した祖納方言について報告する。祖納方言の調査資料は現在整理分析し、その実態を探ろうとしているところであるが、これまでのところでも以下のような特徴が浮かび上がってきている。 1 無声化現象が激しい。無声子音と無声子音に挟まれた母音はほとんど無声化する。 [ka__○seru](背負う) [∫i__○kettu](全然) [ku__○∫ine〓](背中) 2 有声子音の半無声化現象もみられる。これは祖納方言の大きな特徴である。 [b__○a〓](私) [b__○iciri](兄) [tud__○〓i](妻) [d__○u〓pada](体) 3 無声子音と[m,n,r]に挟まれた母音も無声化し、後続の[m,n,r]も半無声化する。 [ka__○m__○a](あそこ) [pa__○n__○a](鼻) [ku__○r__○i](これ) 4 鼻母音が認められる。 [Φa^^〜〓](子) [ko〓∫a^^〜〓](菓子) [su^^〜miru](染める) [pi^^〜mpi^^〜〓](毎日) 今後、当方言も詳しく調査する必要がある。
|