昨年に続いてシボ語の文法書を作成している。現代語の文法を中心にしているが、古代満州語からの変化を知っていなければ、正しい分析が出来ないので、古代文献の調査を承志氏に行って貰っている。研究代表者は、とりあえずできあがっている仮の文法書の文法体系が、日本語の文法と合う部分と合わない部分を調査し、両言語の共通した文法体系の作成に重点を移している。 古代満州語の文法については、いくつかの先行諸があるが、それらは実用を旨としていたため、それらに記述されている文法体系は、あまり理論的・体系的ではない。それらの文法体系を我々の行っている現代語の文法体系に会わせることが、予想外に難しいことが明らかになった。我々が知らず知らずの内に、それらの古代満州語の文法書の記述の影響をうけてしまうことと、記述を改めようとしても、古代語の用例を探す作業が大変困難であるためである。こういう先行書の影響を排することや的確な用例を集めて行くことがこれからの課題である。
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