研究概要 |
奄美諸島方言と南九州方言との語彙の対照研究を通して,本土方言と琉球方言との同質性と異質性とを明らかにすることが,本研究の目的である。 本年度は,奄美諸島方言の身体語彙と副詞語彙の調査を集中的におこなった。すなわち,大島郡龍郷町,和泊町,徳之島町,与論町において,フィールドワークを実施した。これらのデータの処理と本土方言との対照は次年度以降の課題である。 本研究に関連したものとして,1997年8月22日に,第3回「沖縄研究国際シンポジウム」において,「琉球方言の目の表現」について発表した。これは,本土方言の「目」と琉球方言の[mi:],「対応形」ではあるが,「記述語」ではないとの趣旨の発表である。従来は,[mi:]に「目」の訳語をあててことたれりとしていた。しかし,「目」と[mi:]とは詳細に検討していくとかなりの意味用法差が認められるのである。 このような研究を積み重ねていくと,従来の体系の比較をしていく語彙研究から,意味用法の詳細な対応比較を通した方言語彙の対照研究が可能となる。
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