研究概要 |
語彙の対照研究を通して、本土方言と琉球方言の同質性と異質性とを明らかにすることが、本研究の目的である。 初年度は、奄美諸島方言の身体語彙と副詞語彙の調査を集中的におこなった。 本年度は、本土方言の代表として、鹿児島県の2地点(肝属郡根占町,川辺郡知覧町)の身体語彙の調査をおこなった。各地点でそれぞれ160語前後の身体部位称に関する語彙を収集した。これらを構造化して,奄美諸島方言との比較していくことが次年度の課題である。 今年度はまた,文献調査として『鹿児島県方言辞典』の身体部位称をすべて抜き出しカード化した。調査では把握できない特異な表現を補足することができた。 従来の対照研究は,たとえば「手」について,奄美方言の「ティー」を当てて,ことたれりとしていた。しかし,本土方言で,たとえば「手八丁口八丁」という言いかたがあるが,これに対応する奄美方言は「ミーハッチョークチハッチョー」(目八丁口八丁)であり,「手」と「目」で用法が違うのである。 このような研究を積み重ねていくことによって,本土方言と琉球方言の身体部位称語彙の詳細な対照研究が可能となると考えている。
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