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1999 年度 実績報告書

上代漢字文の国語学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 09610431
研究機関立教大学

研究代表者

沖森 卓也  立教大学, 文学部, 教授 (90111442)

キーワード上代漢字文 / 訓 / 万葉仮名 / 変体漢文 / 漢字万葉仮名交り文
研究概要

日本上代の漢字文の作成はおよそ5世紀初頭前後から始まるが、これに先立って、一字漢字資料と目されるものがこの数年続々と発見されている。これらを含め、上代漢字資料をデータ化し、その年表を作成しえたことは、日本語表記の発展を概観する上で、貴重な基礎データとなった。本研究によって、その見通しが得られたことは大きな成果であった。
現存最古の訓の用例は6世紀中葉ごろのもので、その成立の背景には、6世紀初頭以降古代朝鮮から儒教・仏教が伝来し、漢文の訓読が本格化したことがあげられるよう。その後、7世紀初頭の資料では和化された敬譲表現が表記されていることが確認できるが、これは6世紀末までは遡ることができると考えれる。その和化された漢文が出来したのは古代朝鮮の「俗漢文」の影響が大きく、訓の普及を背景として日本語を基盤とする表記が徐々に形成されてきたのである。音仮名が5世紀後半に確認できるのに対して、日本的な訓仮名の使用は7世紀中葉(もしくは前半)のものが最古のものである。この訓仮名は起源的には6世紀まで遡ることができるようにも推測される。訓仮名には「鴨(かも)」「鶴(つる)」のような複音節のものも7世紀後半には確認できるが、これは複音節の音仮名、たとえば「足(すく)」など、いわゆる二合仮名と称されるものと大きく関わるものであろう。日本語表記の発生とその展開は漢字仮名交じり文という現代表記の原型を生み出したのであるが、その営為の過程を本研究によって粗々描くことができたと思われる。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] 沖森卓也: "子音韻尾の音仮名について"鎌倉時代語研究. 第23輯. (2000)

  • [文献書誌] 沖森卓也: "日本古代の表記と文体"吉川弘文館. 350 (2000)

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公開日: 2001-10-23   更新日: 2016-04-21  

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