研究概要 |
本研究の目的は,古典文学作品に用いられた用語を意味分類し,意味分野ごとに各作品の用語を比較することである。実際には,古典語の標準的な統計表として広く用いられている『古典対照語い表』の各語にシソーラス『分類語彙表』の分類番号をつけ,これによって同類の語をまとめた。作品は,万葉集・竹取物語・伊勢物語・古今和歌集・土左日記・後撰和歌集・蜻蛉日記・枕草子・源氏物語・紫式部日記・更級日記・大鏡・方丈記・徒然草の14である。以下に,いくつかの例をあげる。(単位はパーミル) 12040:男女 /最大(伊勢)26.70/最小(竹取)0.11 12490:個有人名 /最大(大鏡)19.42/最小(古今)0.27 12590:個有地名 /最大(万葉)26.20/最小(源氏)2.11 15155:波・潮 /最大(土左) 5.92/最小(大鏡)0.05 15240:地形・山野 /最大(万葉)15.07/最小(紫) 0.64 15520:植物名 /最大(万葉)14.63/最小(大鏡)1.08 15530:枝・葉・花など/最大(古今)18.57/最小(大鏡)0.92 この表によって,自然現象関係の語のの多い作品と少ない作品,といった観点からの分析が可能になり,古典の文体研究が進むものと思われる。 今後,成果として,分類番号を付けた形の『古典対照語い表』を電子化データとして,学界に公表する予定である。
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