本年度は前年度の結果をふまえて、次の作業手順を予定した。 1 パソコンを利用してモチーフインデックスをデータ化する方法を検討する。 2 作品毎に最適なテキストを勘案し、既存のカードの点検及び修正を行う。 3 新たな作品からのデータ収集を行い、既存のデータに付加する。 4 必要に応じて、テキスト所蔵者を訪れて、確認作業を行う。 特に、2・3の作業を中心にするよう計画したが、データ量が、当初予想したよりも遥かに多量に上ることが明らかになってきたので、3年間の計画の中で一応利用可能な結果を出すために、扱う作品の範囲を限定することになった。そして従来、ほとんど利用可能なデータの提供が行われていない歌学書・歌論書の説話を優先することにした。 まず、鴨長明の『無名抄』を最優先に取り上げることとし、データを取るための作品の底本の交換をすべく検討を行った。 諸本の本文の比較検討を行った結果、いわゆる呉本の本文が最も信頼のおけるものであるという結論に達した。呉本は影印が刊行されているが、個人所有のものであり、使用に関わる権利関係の処理が煩雑になるため、これと同系統の本文を持ち、権利関係の処理が簡単な、東京大学図書館所蔵の阿波国文庫本を底本として使用することにした。これに基づいて、『無名抄』の索引データを採取・入力を行った。併せて、本文の翻刻を行った。
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