平成11年度 本年度の調査目標は、前年度に引き続いて唐通事の諸家において編纂された唐話辞書、及び出版された唐語学書、あるいは翻訳書等の所在調査を行い、書誌をとり目録化を進めることであった。これまで資料の発掘や収集に重点をおいたが、それぞれの辞書の内容の分析も同時に進める。各地の図書館・文庫を廻り調査を行い、関係資料、文献の収集を行ったのは次の通りである。 1)唐話辞書、唐計学書の所在調査・書誌調査 国立図書館、東京都立中央図書館、国文学研究資料館 大阪府立中之島図書館、滋賀県高月町雨森文庫 長崎県立図書館など 2)唐話辞書の日録化 国文学研究資料館、国会図書館、国立公文書館等の目録および唐話学関係の文献・データをもとに基礎目録用の準備を開始した。 3)唐話辞書の語彙・内容の分析 古典研究会編輯「唐話辞書類従」(長沢規矩也解題)に収載する唐話辞書を基礎に国文学研究資料館等のデ一夕を加え目録制作に着手した。次年度はさらに調査データーを加えていく予定である。なお、東京外国語大学における言語接触に関する研究会(平成11年12月17日)で若木太一は「唐通事の活動」について、研究分担者高山百合子は「『訳詞長短話』について」と題して研究発表を行った。長崎の唐寺調査では崇福寺、興福寺の唐通事、および聖福寺の墓碑調査を行い資料を得ることができた。
|