研究課題/領域番号 |
09610444
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 成蹊大学 |
研究代表者 |
羽鳥 一英 成蹊大学, ・文学部, 教授 (00023987)
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研究分担者 |
岡 雅彦 国文学研究資料館, 教授 (20044729)
延広 真治 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (00023630)
内田 道雄 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (90020320)
林 廣親 成蹊大学, ・文学部, 教授 (30164958)
揖斐 高 成蹊大学, 文学部, 教授 (70119329)
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キーワード | 笑い / 日本文学 / 比較文学 / 滑稽 / ユーモア / エスプリ / 笑話 / 落語 |
研究概要 |
平成9年度は、共同研究者が互いに研究を進め、情報を交換するほか、多くの協力者から、問題を提起し、資料を寄せていただいた。国際日本文化研究センター教授鈴木貞美氏より、ナンセンス文学や近代文学と落語について、法政大学大学院生中込重明氏より、落語の生成ついて、東京大学大学院生安宥珍氏より、朝鮮笑話集『古今笑叢』と日本笑話の関わりについて、東京大学大学院生陳麗羽氏より、台湾笑話集『台湾笑話』と中国や日本の笑話との相互関係について、ハーバード大学教授ヒベット氏より、欧米文学の笑いと日本文学の笑いについて、静岡大学教授田村充正氏より、ロシアに於ける俳諧の受容について、中央大学大学院生中島穂高氏より、江戸の地口本、口合本について、成蹊大学大学院生丸山俊氏より、太宰治の笑いについて、フリーライター有吉英治氏より、川柳のユーモアについて、蒐集整理した資料を提示し、問題を提起してして頂いた。研究代表者の羽鳥は、11月28日、明治大学で行われた、日本笑い学会関東支部の研究会に出席し、「笑いの本質・分類・意義」について、ベルグソンやフロイトを踏まえながら、それを更に進めた新しい笑いの分析理論を披露し、出席者各位の意見を徴した。これらの調査、研究を通して、(1)これまでの文学研究は笑いに無関心か、関心があっても確かな分析方法を見出していなかったが、分析理論を樹立し、研究の新しい視野を開いた。(2)笑いには時代や社会を超える共通性が存在するが、同時に封建社会と自由社会、アメリカ社会とアジア社会というように、時代や社会により、色合いの違いが生じざるを得ないことを明らかにした。(3)既成の価値観が崩壊して、人々が行き場を見失っているかのような今日、混沌を乗り越え、新しい文化を創造していく上で果たす、笑いの役割の大きさについての認識を提示し得た。これらの成果は『笑いと創造 第一巻』と称して、平成十年六月、刊行の予定である。
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