研究計画に従って、資料の収集、分析を行うとともに、研究のとりまとめを中心に作業をすすめた。97年度は【○!1】30年代の前衛芸術に関する期刊資料の複写、整理【○!2】民国時期の大衆芸術に関する雑誌、書籍の購入、複写、整理【○!3】民国時期の民間芸術に関する資料の購入複写、整理を行った。 以上の作業により30年代を中心とする広告等の大衆芸術の情況、また民間芸術研究状況とモダニズム運動の関りが一部明らかとなった。成果は「三〇年代モダニズムの行方」として、1999年2月に公刊した。以上の研究により、30年代は大衆芸術、民間芸術、アカデミック芸術、前衛的芸術がそれぞれ林立している状況が明らかとなった。 98年度は現代アートの研究を中心に【○!1】台湾における民間芸術の研究【○!2】大陸における現代アート史に関わる研究【○!3】民間芸術、大衆芸術に関する論述等、資料を複写、購入、整理分析した。 以上の作業を通じて、現代の前衛芸術における大衆、民間芸術の意義を検討した。そして大衆、民間芸術を「反官方芸術」「反都市芸術」としての視点から見直し、中国現代芸術史を再構築した。その成果の一部は拙著『アバン・チャナ』にまとめて公刊した。 以上1997・1998年度の作業、研究を通じて、30年代から今日に至る大衆・民間芸術への傾斜の差異、変化を析出することができた。また前衛芸術の芸術史上の新たな位置づけを行うことも可能となった。しかし、以上の作業の経過から「毛沢東様式」という中国芸術史上重要なポイントが浮上してきた。今後は毛様式の成生と変容について、追求していく必要性が出てきた。 なお本研究では1997年8月と1998年11月、北京の美術評論家、栗憲庭、黄篤氏らにレビューを受けることができた。
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