研究課題/領域番号 |
09610462
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
岡崎 由美 早稲田大学, 文学部, 助教授 (50185419)
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研究分担者 |
千田 大介 早稲田大学, 文学部, 助手 (70298107)
古屋 昭弘 早稲田大学, 文学部, 教授 (70165497)
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キーワード | 芸能 / 演劇 / 俗文学 / 戯曲 / 中国 / 都市 / 北京 / 近代 |
研究概要 |
本共同研究のうち京劇を対象とする研究活動については、民国期の芸能・演劇を巡る近代的価値観と在来の伝統的価値観とのせめぎあいを、南京政府樹立以後の北京という都市において、主にその社会的側面から検証することを主題としている。 本研究では特に、旧来の俳優養成期間である「科班」の特質を残しつつ、一方で近代的な芸術・教育の理念を採り入れた中華戯曲専科学校(1930年開校)に注目し、上記のテーマを具体的に検証すべく、複数回のフィールドワーク、および文献収集活動を行っている。前者については、中華戯曲専科学校の卒業生とその観客達を対象に集中的にインタビューを実施し、一方の文献に関しては、当時の演劇雑誌を中心に、北京及び日本国内の図書館、研究所において、随時資料の収集を試みている。これらの活動により、当時の中華戯曲専科学校の社会的ありようを、多角的に構成し直す資料的基盤が整えられつつある。また、文献収集と同時に民国期の演劇関係雑誌の所蔵目録データベースを作成しており、完成後は当該分野の今後の研究に、若干なりとも資するところがあると考えている。 次に北京皮影戯を対象とする研究活動では、現在失われつつある皮影戯に関する情報を収集し、社会的環境およびその機能と様態とを明らかにすることを主題としている。 本研究は、北京西派皮影戯徳順班(北京皮影劇団の前身)を主たる調査対象とする。本年度は、元劇団長の劉季霖氏へインタビューを、数次にわたって行い、民国時期の劇団構成員のプロフィールと経済・社会環境、および皮影戯と京劇など他のメディアとの関係について、重点的に聞き取り調査した。この結果、民国期における皮影戯の発信・需要層の様態と、北京の文化地理的背景に関する知見が得られた。また、調査過程を通じて、膨大な北京、および北京との往来が盛んであった冀東地域の皮影人形・台本が多数収集されている。前者については、現在、早大演劇博物館にて整理中である。後者については、貴重文献の電子資料化を進める一方、研究分担者による、解読作業にも着手している。
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