研究概要 |
今年度は8月に6週間、日本学術振興会の特定国派遣員としてイギリスに滞在することが決まっていたので、それに合わせてすべての準備を行った。3月末に“AEltric believed on God"をNotes & Queriesに投稿していたが、sheffieldでIAUPE(国際英語正教授学会)の前の週に開かれたMedieval Seminarで発表する直前にacceptされた。このセミナーでは以前から知り合いのNormed Blake,David Burnley,Ian Kirby教授等と再会したのみならず、ケルト語の専門家Andrew Breeze氏とも意見を交換する機会を得た。5日間の滞在の間に、Sheffied大学の図書館の地下のファクシミリ室で研究することもできた。IAUPE本会の開催されたDurhamでは、Hans Sauer,Andreas Fischer,Matti Rissanen,Risto Hiltunen教授等の友人達と再会したが、その間にDurhamの図書館でかの地に残る公文書等中世の資料を調査した。次にGlasgowではChristian Kay,Graham Caie両教授の計らいで3日間ながら図書館での資料調査と古英語のコンピューター自習プログラム見学を済ませた。その後ManchesterでのICEHL(国際歴史英語学会)で“‘Gewat+infinitive'and‘Uton+infinitive'"と題して発表、その間にもDavid Denisonに紹介状をもらって図書館でファクシミリ等を調査、その後のOxford滞在中に“7/and/ond in Some Old English Manuscripts"を書き上げた。帰国後11月に日本英語学会のシンポジウム「関係詞の発達」において発表、その後は資料の整理に費やした。 今年度から次年度にかけては、特に古英語期と中英語期の中間の、いわゆる「過渡期」に焦点を合わせ、資料の少ない時期の資料の扱い方を再検討している。今回、イングランド北部からスコットランドを訪問したのは、北方の早い統語的変化を残す資料を発見するためであった。わずかではあるがDurham等で興味深い資料が見つかったのは収穫であった。
|