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1997 年度 実績報告書

英文学研究における「近代」の言説に関する表象文化論的考察

研究課題

研究課題/領域番号 09610471
研究種目

基盤研究(C)

研究機関東京大学

研究代表者

高田 康成  東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (10116056)

キーワード近代 / ポスト・モダン / 作家 / 同一 / 差異 / 意識 / 天才
研究概要

英文学研究において「近代」の言説が顕在化するのは、それが反省的に認識される時点と考えるのが妥当であり、すなわち「ポスト・モダン」という概念の英文学研究史上での登場とほぼ重り、その前段階としての構造主義的視点の台頭に予知されていた。「ポスト・モダン」概念の成立を以て「近代」言説の対象化が行われたとするならば、それ以前の時代、すなわち英文学研究の成立する十九世紀後半から今世紀前半の時代、は「近代」言説が潜在的に効力を発揮した時代と言うことができる。(A)潜在的「近代」言説を特徴付ける最大の要素は創造主としての「作家」というコンセプトであり、それは更に常に同一であり発展する「作家」の「意識」が作り出す統一ある世界を構成する。そのモデルは、ヘーゲルの『精神現象学』に見られるような、外的世界を包摂してゆく意識の自己展開といった構造である。したがってこのような潜在的「近代」言説では、さまざまな矛盾は「作家」の意識なり想像力の中で発展的解消を得るものと期待されることになる。矛盾ばかりでなく、醜も悪も「作家」の想像世界においては善であり美と化してしまう。ロマン主義的「天才」概念を最終審とするような批評言説はこの最たる例であろう。(B)顕在的「近代」言説は潜在的「近代」言説の裏返しとして登場する。「作家」の「意識」は固定された基盤を失って「流れ」となり、もはや外部の世界を包摂してゆくような権威を剥奪されることになる。ここでは「同一」であることがあらゆる局面において理論上不可能とされ、「差異」が絶対的権力を行使する。さて、問題は同じコインの表裏にすぎない潜在的・顕在的「近代」言説の先に何があるかであろう。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] 高田康成: "ヨーロッパ統合と英文学" 英語青年. 143・6. 303-305 (1997)

  • [文献書誌] 高田康成: "スペンサーの顔" 詩人の王スペンサー. 507-512 (1997)

  • [文献書誌] TAKADA,Yasunari: "Shakespeare's Cicero" POETICA. 48. 157-165 (1997)

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公開日: 1999-03-15   更新日: 2016-04-21  

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