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1997 年度 実績報告書

現代アメリカ文学におけるフォークナ-の遺産の体系的研究

研究課題

研究課題/領域番号 09610483
研究種目

基盤研究(C)

研究機関広島大学

研究代表者

田中 久男  広島大学, 文学部, 教授 (30039135)

キーワードフォークナ-文学の遺産 / 現代アメリカ文学 / ウィリアム・スタイロン / トニ-・モクソン
研究概要

科研の追加配分の通知を10月下旬に受けて、ウィリアム・スタイロンの処女作『闇の中に横たわりて』の再読と分析を本格的に開始し、それと並行して、彼と現代文学に関する図書、および、スタイロンの出生地であるヴァージニア州をも含むアメリカ南部を歴史的、社会文化的に扱った研究書を購入し読み進めた。その作業において、スタイロンの当作品がモダニズム文学のすぐれた成果と見なされているフォークナ-の『響きと怒り』と『死の床に横たわりて』の影響の痕跡を強く残していることが確認できた。それらの痕跡を具体的に確定しまとめる段階で、私の研究テーマとして挙げている「フォークナ-文学の遺産」という概念を少し拡大する必要があることに気づいた。すなわち、ある作家の作品のどこまでが影響によるもので、どこからオリジナリティかという難しい区別の問題が現れてくるからである。つまり、遺産の相続という垂直に見る伝統的なロマン主義の概念から考察するだけではなく、相互テクスト性(インターテクスチュアリティ)という時代を越えたテクストどうしの共振現象としても捉える方が、「あらむるテクストは引用のモザイクとして構築されている。テクストはすべて、もうひとつの別テクストを吸収、変形したものである」という現代の先鋭なテクスト観にも合致するだろう。
購入した最新のスタロイン研究書を参照しながら、既発表の『ナット・ターナーの告白』と『ソフィーの選択』に関する論文に若干の修正・加筆を行い、本年度の主たる目的であった『闇の中に横たわりて』については、上記の修正作業を試みながら、現代の文学観に見合うような論稿を作成中である。なお、平成10年度の設備備品費から購入予定であったノート・パソコンが、出張先での資料収集や研究作業には不可欠の備品であることを痛感したので、今年度の予算で購入し研究のいっそうの効率化を図った。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (1件)

  • [文献書誌] 田中 久男: "Faulkner文学におけるnature/nurture:race/class" 英語青年(特集:ウィリアム・フォークナ-生誕100周年記念. 143・8. 456-458 (1997)

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公開日: 1999-03-15   更新日: 2016-04-21  

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