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1998 年度 実績報告書

近代小説の<語り>の発生と展開に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 09610493
研究機関東北学院大学

研究代表者

遠藤 健一  東北学院大学, 文学部, 教授 (20118326)

研究分担者 原 英一  東北大学, 文学部, 教授 (40106745)
キーワード近代小説 / 語り / 内的焦点化 / 視点 / 旅行記 / 日録 / 回想録 / 日録を偽装する回想録
研究概要

近代小説(novel)の語り(narration)の達成を,三人称のしかも「内的焦点化/視点」(internal focalization/point of view)に求めることに異論はない.しかし,その淵源と生成のプロセスについては必ずしも意見の一致を見ているわけではない.本研究においては,この問題について次の3点を提案する.
1. 「内的焦点化/視点」の語りの特徴は,物語内容(story)の物語言説(discourse)への溶融,物語内容の語りの現在への召喚という構造を有している.
2. 空想旅行記といわず現実旅行記といわず旅行記には,主に2種類の語りの類型が弁別できる.日録タイプの旅行記と回想録タイプの旅行記である.この二つの類型の混合のタイプ,すなわち日録を偽装する回想録あるいは回想録を偽装する日録とでも呼べそうな旅行記が存在する.この第3のタイプの旅行記の語りの構造に内的焦点化/視点と共通の構造を見出すことができる.すなわち,等質物語世界的語り(homodiegetic narration)において,作中人物の<わたし>(character-I)によって語り手の<わたし>(narrator-I)が占拠・占有されるという構造が見られるということである.
3. 近代小説の語りのテロスたる三人称の内的焦点化/視点の語りのプロトタイプをこの日録を偽装する回想録の語りのうちに確証することができる.

  • 研究成果

    (5件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (5件)

  • [文献書誌] 遠藤健一: "世界を切り取る眼差し-映画『ラヴ&ポップ』を読む" 河北新報(朝刊). 6月22日. 15 (1998)

  • [文献書誌] 原 英一: "プレ・モダニズムの演劇とポスト・モダニズム言説としての小説" シルヴァン. 40号. 117-124 (1998)

  • [文献書誌] 原 英一: "女性による王政復古期劇場の征服について" 東北学院大学論集-英語英文学. 89号. 31-65 (1998)

  • [文献書誌] 原英一・遠藤健一: "ディケンズの徒弟小説の起源に関する史的研究" 平成7〜9年度科学研究費補助金研究成果報告(基盤研究(C)(2). 1-64 (1998)

  • [文献書誌] 遠藤健一: "松柏社業書言語科学の冒険4 物語論辞典・増補版(翻訳)" 東京:松柏社, viii+266 (1997)

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公開日: 1999-12-11   更新日: 2016-04-21  

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