本年度は、これまでの研究を本の形でまとめることを目標にした。したがって、執筆および資料の整備が主たる作業である。「〈新しい女たち〉の世紀末」と題する本は以下の17章より成り、19世紀末のイギリス小説に登場した一群の新しいヒロイン像の歴史と意義を辿り、彼女たちの「新しさ」を通して世紀末イギリス文化のさまざまな文化的状況と心的傾向を読み取ろうとしたものである。1999年4月にみすず書房より出版。 1〈理想の女性〉のイデオロギー 2〈当世娘〉から〈新しい女〉へ 3〈新しい女〉と二つのイズム 4〈新しい女〉の登場 5〈余った女〉をどうするか 6〈ナチュラル・ウーマン〉 7〈新しい女〉はエロトマニアか 8〈やってのけた女〉 9〈新しい女〉と母性 10 隠喩としての〈性病〉 11「パンチ」なかの〈新しい女〉 12〈新しい女〉は自転車に乗って 13〈猿〉に退化した〈新しい女〉 14 男の血を吸う〈新しい女〉 15「乳母育ちの文学」の殻を打ち破って 16「パビロンの娼婦」でもなく「女の精の幻」でもなく 17 パラドックスとしての〈新しい女〉
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