研究概要 |
本課題には、元来、二つの目的があった。その一つは古版本の本文校合とその分析による本文批評であり、もう一つは古版本に書き込まれた覚え書きにもとづく批評史的・上演史的考察である。本年度中の成果としては、日本シェイクスピ学会(平成9,10,11於福岡大学)での口頭発表「シェイクスピアを読んだ17世紀前半の読者」がある。 古版本に書き込まれた覚え書きについては、明星大学の児玉記念図書館所蔵の第1・2つ折本に発見される1630年代らしい覚え書きの収集と整理を積極的に進めた結果、かなりの成果をあげることができた。細部の点検はまだ十分ではないが、およその全体像をとらえ得たと思う。よって、統計的な数学によって覚え書きをした読者の作品理解を測定してみた。 本課題による研究の初年度には成果報告書の作成義務はないが、いずれこの覚え書きに関する研究を集大成して公刊したいので、そのときの書物形式と体裁などを見定める目的で、ささやかな成果報告を作成してこの報告書に添える。
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