論文集への掲載が決定した10本の原稿を、さらに堆敲すべく皆で読み、検討し合った。その原稿をアメリカの様々な出版社に送り、出版依頼をした。また全体の掲載論文を紹介しつつ、奈良・平安から現代に至る日本女性文学全体を俯瞰する内容のIntroductionを仕上げたが、そのために日本側の寺沢とアメリカ側の栗林が綿密に検討し合った。 幾つもの出版社と連絡・交渉をし、1999年6月の段階で、Universitey Press of Americaからは「うちで出版します」との返事をもらったが、少しでもより良い(権威の大きい)出版社から出したいと考え、上記の出版社を確保した上で、それ以外の出版社にも出版依頼をし続けた。一つの出版社に原稿を実際に読んで検討してもらい、返事をもらうまでに数か月の時間が掛かり、また複数の出版社に同時進行で出版検討を依頼することが禁止されており、一つの返事が来てからまた改めて次の依頼ということで、かなり時間が掛かった(現在各大学出版局はいずれも緊縮財政で出版物をかなり限定している状況)。結論として、University Press of Americaで2000年度に出版されることとなった。 寺沢は女性文学に関わる研究を進め、またアメリカ側の協力者栗林は(現在Trinity College of Vermontのアメリカ文学の教員であるが)、日本女性文学、さらには女性文学へのアメリカでの関心をさらに高め、この論文集が多くの人に読まれることを目指し、昨年に引き続き、アメリカの学会で精力的に発表を行っている。1999年11月、MMLA年次総会で多和田葉子についての発表、1999年6月、カナダのケベックで行われたthe Canadian ConferenceでBeloved論を発表し、さらにWho's Who in Contemporary Women's Literature (Routledge)という事典の日本女性作家項目に関するco-editorをもつとめた。
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