本研究の目的は、日本の大学でフランス語教育に携わる人々のためにマルチメディア時代における外国語としてのフランス語教授法を提示することである。このためにさまざまなCALL授業のあり方を、フランス語の各種授業科目(総合基礎あるいは技能別専門)の枠のなかで探求した。効果的な言語学習の方法として以下のものがあげられる。 ・わかりやすいプレゼンテーション(これは言語そのものとは関係しないが、CALLシステムの補助的な、しかし重要な可能性である) ・インターネットによる調査学習(あるテーマ、課題にたいして資料を収集して整理する) ・Web翻訳(グループによるプロジェクトワークとして学生たちが自分の興味を持つ題材を取り上げる) ・物語の創作(個人あるいはグループでの作文にたいして検討・修正個所を指示しながら、読むに値する世界を作る) ・モデュール形式のオンライントレーニング(一連の読解と聴解用の練習を可変的リズムで実行する) ・文学テクストのインタラクティヴな読解(ベースは自由だが、目標設定と作業工程の明確な読書) いずれの方法においても、計画的に教授と学習の相乗効果を目指す教授者の側からのフォローがともないつつ、学習者が自由で創造的な活動を通して言語学習を実行できるときに、CALLは最も有効かつ快適な教育の場を提供できる。 CALLシステムは、言語学習に必要な情報を柔軟に活用し、そこから多様な学習活動を促進できる。それゆえ日本人教師、フランス人教師そしてコンピュータという3者が連携して授業を行う協同アプローチが、今後の総合的な言語能力を習得させるための外国語教育において最も実り豊かな教授法となるであろう。
|