研究目的の1)に揚げた十三世紀フランス文学作品『狐物語』の描写と十五世紀のブルゴ-ニュ候年代記作者ジョルジュ・シャトラン等の記述している歴史的事件の間に見られる類似性についての考察は国際動物叙事詩学会での口頭発表を終了している。論文の刊行が枚数の関係上遅れていたがようやく発表予定の段階に至っている。 研究テーマの2)に挙げた「ジャンヌ・ダルクの言語とその文体」に関しては、すでにその一部分をまとめて日本文体論学会で報告した。特にその書簡文の文体に関連する問題を切り離して整理し、同学会の機関誌『文体論研究』(第41号)に発表したところ大方の好意的評価を受けるに至ったので、紙面の制約上割愛した部分を加筆した上で改めて紀要に掲載した。同論文は幸いにもジャンヌダルヌ研究の世界的権威であるレジ-ヌ・ペルヌ-女史(オルレアン市立ジャンヌ・ダルク研究所々長)より、"今まで誰も気づかなかった分野の開拓である"との賛辞を頂戴した。このテーマに関しては、研究対象を更にジャンヌの言語全体に広げて研究を続行する方針である。 上記のテーマに関しては、既に数年前より部分的には研究に着手していたため比較的順調はすべり出しと云えるが、今後の全体的展開については平成十年度の予定計画を再吟味した上で最終的プランを決定するつもりである。
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