今年度行った研究は、以下のとおり。 1 20世紀イメージ研究のための資料収集 2 民族、国家、ジェンダー、メディアに関する研究 (1)国民国家論の研究 B・アンダーソン『想像の共同体』、モッセ『大衆の国民化』等の理論的研究を行い、ドイツ、オーストラリアにおける国民国家と民族、言語について歴史研究を行った。具体的な作品分析としては「戦意昴揚映画『5人の斥候兵』における「君が代」」を執筆し、戦時下の民衆心理において国歌が果たした役割について論じた。 (2)国家とジェンダー 政治思想研究会において(1999年4月 成城大学)、李静和『つぶやきの政治思想』に関する口頭発表を行った。 イメージ&ジェンダー研究会において(1999年12月 東京女性フォーラム)、セクシュアル・ハラスメントの思想と現実について口頭発表を行った。 モッセ『ナショナリズムとジェンダー』、大越愛子『近代日本におけるジェンダー』、鹿野政直『戦前・「家」の思想』等の理論的研究を行い、ドイツと日本におけるナショナリズムとジェンダーについて分析した。 (3)メディアとしての文学 エリアス・カネッティ『眩暈』については、小説内部の視点/語り、セファルディ系作家カネッティにとってのドイツ語の意味等について考察した。また、エイミ・タン『私は生まれる見知らぬ大地で』、大友康夫『ざりがにのおうさま まっかちん』、石牟礼道子『苦海浄土』について書評を行い、「語り」のスタイル、ジェンダー、児童文学、社会性等について論じた。 (5)ベンヤミン研究 ベンヤミンにおけるメディア、都市、歴史と記憶について研究した。
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