中世期のドイツ語に比して、現代ドイツ語における文の統語構造は極めて複雑で特異なものとなった。これは、近世以降の社会の情報化に伴い、文書によるコミュニケーションの重要性が高まり、ドイツ語が話し言葉的統語構造から、書き言葉的統語構造中心へ移行していったことの結果だと考えられる。 本研究の目的は、複雑な情報の簡潔で正確な伝達という目的のために、複合文を形成する接続詞の体系が中世期移行どのように組み替えられ、意味的、機能的に分化、整備されてきたかを究明することである。 平成9年度は以下のような作業を行った: 1)ボン大学の電子化された近世ドイツ語テクストコーパスから、接続詞を含む複合文を収集し、データベースの作成を開始した。 2)これまで収集した複合文を意味、機能に基づいて分類し、接続詞の体系を明らかにする基礎作業を行った。 3)ケーススタディとしてルターのAn den christlichen Adel deutscher Nationの分析を行った。 4)ボン大学の近世ドイツ語コーパスのテクスト選定とコーパスの構築にあたったWalter Hoffmann博士を訪問し、不明なテクスト箇所の解読に居力してもらった。また、補完テクストの選定に関してレヴュ-を受けた。
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