本研究の目的は、近世以降の社会コミュニケーション状況に対応して、ドイツ語接続詞の体系がどのように組み替えられ、意味的、機能的に整備されてきたかを究明することであるが、平成12年度は以下のような研究活動を行い、次のような知見が得られた: 1)今年度は最終年度であるため、研究成果のまとめとして2篇の論文を執筆し、武蔵大学人文学会雑誌に発表した。 (1)Historische Entwicklung des Bestandes der subordinierenden Konjunktion des Deutschenでは、中世、近世、現代のドイツ語の接続詞を体系的にその機能と変遷の方向性という視点から分析を行い、それらの変異形が整理され、多義性が減少し、コンテクストに依存せず、情報を言語的に明示する傾向が強まったことを明らかにした。 (2)Sprechsprachlichkeit des Fruhneuhochdeutschen-unter besonderer Berucksich-tigung der gliedernden Funktion des Verbs am Beispiel der Texte Luthersでは、ルターのテクストを例に、動詞の分節機能という視点からドイツ語の文の構成を分析し、リズミカルで、耳で聞いて理解しやすい構造を持っていることを明らかにした。 (3)これまでのドイツ語接続詞体系の変遷の分析に基づき、ドイツ語は近世ではまだ話し言葉的性格が強かったが、現代語に至って書き言葉的性格を強めたとの知見を得た。 2)2000年9月11-15日にウィーンで開催された国際ゲルマニスト学会(IVG)、2001年3月10日、関西大学文学部おける近現代ドイツ語史研究会で研究成果を発表した。 また、2001年3月13-23日、ドイツに出張。13-15日、マンハイム市ドイツ語研究所の年次学会に出席した。16-18日、ボン大学、19日-21日、ハイデルベルク大学に研究者を訪問し、研究成果に関する意見の交換を行った。
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