研究概要 |
1 この3年間に及ぶ計画の第1段階として、大英図書館所蔵ケンペル資料(スローン3060,3061,3062草稿)のマイクロフィルムをもとにケンペルの筆跡、省略形や合字などの見本のサンプルを取り、写真付きのリストを作成し、解説した。さらに新たな発見であるデトモルト(ドイツ)国立公文書館のケンペルによる書輪等も同様の作業を行い、「文書データベース」に加えた。このデータベースは計画の2年目にさらに拡張する予定だが、1998年3月中旬より九州大学のサーバーを通して暫定的にインターネット上で公開する(「http://www.rc.kyushu-u.ac.jp/^〜michel/ek/index.html」。バックアップサイトとして「http://www.ilc.kyushu.ac.jp/^〜michel/ek/index.html」を用意する)。この公開により解読が困難とされてきているケンペル資料への取り組みが大幅に容易になったといえる。 2 上記のように文書を分析した結果、ケンペル資料の中の草稿「Das heutige Japan」(=『日本誌』、大英図書館、スローンコレクション3060)は解読し、全文を入力した。2年目に予定していた校正にもすでに着手している。 3 講演会や学会発表では、具体的な事例(ケンペル資料における病名、5代将軍綱吉の謁見)により、これまで刊行されてきた『日本誌』は如何に翻訳や編纂により歪曲されたことも明らかになった。本研究計画が完成する99年度中出版されるこのドイツ語の草稿はによってのみ、ケンペルが日本をどのように認知、理解していたのかが明らかになる。
|