研究概要 |
本年度は以下の資料調査・研究を行った。 (1) ドイツ・ケルン大学ヴィルヘルム・フォスカンプ教授(Prof.Dr.Wilhelm Vosskamp,U,Cologne,Germany)および同ゲッティンゲン大学ヴィルフリートバルナー教授(Prof.Dr.Wilfried Barner,U.Goettingen,Germany)の全面的な協力をえて、1920〜30年代のドイツにおけるゲオルゲ派と精神史的文芸学の文学研究の理論史的・制度史的文献資料を調査・蒐集した。 (2) 平成10年10月30日〜11月06日、九州大学言語文化部において主として1920年代および1950年代の日本におけるドイツ文芸学の受容に関する文献資料の調査・蒐集を行った。 (3) 平成11年3月9日〜3月12日、大阪大学言語文化部において1930〜40年代の日本におけるドイツ文芸学の受容に関する文献資料の調査を行った。 (4) 上記資料の整理とデータ・ベースの作成に着手した。 また、上記の資料調査にもとづき、ディスクール類型的な視点から文学研究の言説の編制を記述するための理論的考察を深めた。とくに今年度は、ゲオルゲ派の文芸学および学問観が当時の学問論の文脈のなかに占める位置を主として理論史と制度史の面から明確にするとともに、同時代の日本における精神史的方法の占める位置との比較・対照を行った。この研究にさいしては、上記(1)で挙げたドイツの研究者と緊密な連絡をとり、書面による意見交換を頻繁に行った。これらの研究の成果の一部は、平成10年9月14〜18日に行われた東京大学国際シンポジウム「知の総合」において口頭発表を行い、また数本の論文として発表した(研究発表参照)。
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