本研究は、ドイツ語電子テキスト資料(コーパス)から、通常の語のレベルを超えて、文ないしはテキストレベルの言語現象を検索可能とするようなシステムを「テキストデータベース解析辞書」として構想し、これを実際のソフトウェアとして実現しようとするものである。研究完成年度までに目標としている処理は、形態素解析処理(変化形から基本形、また基本形から変化形を引き出す処理)、構文解析処理(分離動詞、助動詞構文、完了形、受動形などの枠構造の解析処理、動詞と助動詞、形容詞と副詞など文脈から品詞・用法を決定させる処理)、そして意味解析処理(同音異義語の処理)である。 本年度は平成11年度までに行った理論的考察、および具体的なコーパスの整備を踏まえて、実際にソフトウェアの開発に着手し、TEDDY for Windows Version2.0として一応の暫定版を完成させた。これは基本的には、本研究課題以前に、すでに公刊されている「グリム・データベース」(郁文堂1995)付属の検索ソフトTEDDY Version1.0の改訂版と位置づけられるが、操作性、機能、速度の各面で大幅に性能の向上が計られている。ただし本研究で主として追求してきた語のレベルを超えた言語現象の処理を行う機能は、未だ実験段階であり、完成したソフトウェアとしてはインプリメントするに至っていない。
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