研究期間の最終年度に当る平成11年には、次の3項目を中心に研究を行なった。 (1)わが国では従来その内容が明らかでなかったインドネシア語版のラーマ物語(スナルデイ編「ラーマーヤナ」)、影絵の脚本として国内で広く使用されているマレーシアのラーマ物語「チェリタ・マハラジャ・ワナ」、ポルポト政権以前のカンボジアで使われていた口承のラーマ物語「レアムケー」等、ラーマーヤナ研究では未開拓であった分野を中心にその内容および特徴を分析した。 (2)マレーシア大学で10月に開催された第l回国際ラーマーヤナ・マハーバーラタ学会及びニューデリーで12月に開かれた第16回国際ラ-マーヤナ学会に出席して研究発表を行なった。前者ではスンダ語版ラーマ物語、後者では北部タイのランナ一語版ラーマ物語について、それぞれその特徴を指摘し周辺諸版との関係を明らかにした。 (3)初年度および第2年度に行なった東南アジア諸国のラーマ物語(ジャワ語版、スンダ語版、タイ語版、ラオス語版、ビルマ語版、モン語版、フィリピン版、雲南省のタイ語版等)及びインド諸語版ラーマーヤナ(梵語のヴァールミーキ版、タミール語のカンパン版、テルグ語のランガナ一タ版、ベンガル語のクリッテイヴァサ版及びジャイナ教のラーマーヤナ等)の研究で解明した内容を整理して最終報告書の原稿執筆を行なった。
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