研究概要 |
シナ=チベット語族チベット=ビルマ語派ロロ=ビルマ語群のビルマ語(Bur-mish)系諸言語の語彙比較を通うじて,ビルマ語系諸言語(proto-Burmish)の祖形の再構を目標として研究をすすめてきた。 まず,本研究を始めるにあたり,東京在住のビルマ国籍マル族(バプティスト派牧師)の協力が得られることがわかったので,まず,ビルマ語系の一言語マル語の語彙調査に専念することにした。今年度もこの作業を継続し,調査表の所与の項目をひととおり終えることができた。英領期のビルマ側の資料,1980年代に中国で刊行された雲南側の資科,1970年代に本研究代表者が調査することのできたビルマのシャン州北辺の資科とつきあわせ検討すると,いくつかのこと(次に例を示す)が分かった。 1.存在/所有詞に4つの語があり区別して用いられる。 2.助動詞の位置:使役・願望・義務などは助動詞を動詞の後ろに置いて表わすが,可能・技能・完結などは逆に助動詞を動詞の前に置いて表わす。 3.「きょうだい」に関する語彙は,「兄」「姉」は区別するが「弟・妹」は区別せず同一の語で表わす。 報告書として,マル語語彙集(冊子)を出す。
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