本年度は、以下のような調査研究を行った。(1)京都アクセントの記述調査の続行、(2)京都方言のアクセント付き会話資料、(3)徳島市アクセントの小辞典の作成、(4)兵庫県播磨アクセントの記述調査の続行。 (1)は、遺憾ながらあまり調査が進捗せず、まとまった報告もできなかった。話者の高齢化・病気・死去によって、調査続行話者数がますます減じており、来年度以降、ほぼ現段階の資料によって、まとめを進めることになりそうである。 (2)は、(1)の記述調査の裏付けとして、自然談話の中からアクセント記述を行い、報告書を刊行した。これは、アクセントのみならず、語法などの報告としても有用であると心ずる。今回のあつかった資料の他にも若干量の資料が手元にあるので、報告を進めるつもりである。また、いずれテキストファイル形式での公刊も計画している。 (3)(4)は、昨年度の高知に引き続き、中央式諸方言の中で古色を残す地域の記述調査の一環として行った。いずれも、地元出身のすぐれた話者・研究者と知り合うことで、非常に能率的に作業を行うことができた。徳島は、高田豊輝・大和シゲミ両氏の協力を得て、アクセント小辞典として報告書を作成できた。
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