本研究では、(1)法社会学の方法に基づく実証的研究、(2)立法政策分析を踏まえた法理論的研究の二つの視角から、研究課題に迫った。(1)に関しては、第1に、地方公共団地の条例・要綱の制定動向の調査研究、資料の収集分析を行った。すべての都道府県・政令市に対するアンケート調査も計画したが、時機尚早と考え、これを断念した。第2に、港湾計画、海面埋立・干拓のアセスメントの実態把握とその在り方については、とくに意欲的に取り組んだ。その研究成果は研究代表者富井によって中四国法政学会で発表された。さらに、富井は本年開催の環境法政策学会等で「海浜環境の保全と埋立アセスメント」と題する研究発表を準備している。 (2)に関しては、本研究期関の初年度に、折りしも「環境影響評価法」が制定されることとなったので、先行研究の延長線上で、本法の制定から施行に至るまでの原資料を殆どもれなく収集し、整理分析することに力を注いだ。これを踏まえて、本法の制定過程を綿密にフォローし、本法の複雑な構造に本格的な検討を加え、本法の意義、その評価すべき点、予想される問題点、残された課題などを詳細にわたって明らかにし得た。 この研究成果は、富井によって「環境影響評価法の制定とその検討」との学術論文にまとめられたほかに、「日本の『環境アセスメント法』」という総説文にまとめられ、学生向けの教科書に寄稿された。さらに、その要旨は、日本環境学会で発表されている。 以上の研究は『環境アセスメントの法制化に関する研究』という本研究成果報告書としてこの3月にまとめられた。
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