研究課題/領域番号 |
09620016
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
中富 公一 岡山大学, 法学部, 助教授 (90164227)
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研究分担者 |
榊原 秀訓 名古屋経済大学, 法学部, 教授 (00196065)
仲 哲夫 高知短期大学, 教授 (00141721)
倉持 孝司 名古屋経済大学, 法学部, 教授 (00153370)
村田 尚紀 関西大学, 法学部, 教授 (00210047)
竹森 正孝 岐阜大学, 地域科学部, 教授 (90111062)
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キーワード | 国民投票 / 住民投票 / レファレンダム / 直接民主主義 / 地方自治 / 沖縄 / 比較憲法 / イニシアティブ |
研究概要 |
我々は、1997年度から1999年度まで、国民投票制度の比較憲法的総合的研究に取り組み、スイス、イギリス、フランス、ロシア、アメリカ合衆国、ニュージーランド、そして日本では、沖縄および各地の住民投票を研究してきた。 そこで得た知見を、敢えてまとめれば次のようになろう。 1.日本では、理論面では、レファレンダムに関して消極的態度が強かった。それは、解釈論および実態認識、両面においてそうである。 2.しかし、世界では、第三次ブームというべきものを迎えている。第一次ブームは、第一次世界大戦終了後に生じている。その象徴としてヴァイマル憲法における採用を挙げることができよう。しかし、ドイツでのヒトラーによるその悪用以来、レファレンダムについては各国で消極的態度が目立った。例外として、スイス、イタリア、アメリカ合衆国を挙げうるが、それとて極めて活発というわけではなかった。しかし、1970年代後半以降、レファレンダムは各国で活発に行われるようになり第二次ブームが生じた。その原因としては、ファシズムへの嫌悪感が落ち着き冷静にレファレンダムを評価し始めたこと、学生闘争等により政党の指導部の権威が低下し、リベラル・ラディカル的潮流が強まったこと、環境問題等への政治権力の対応の遅れに対してレファレンダムが呼び出されたこと等を挙げ得よう。今日の第三次ブームは、1989年以降の冷戦の終了に伴い、民族自決、民族国家形成の要求が強まったこと等によっている。 3.日本の住民投票について言えば、沖縄県民投票はこの第三次ブームの中で、その他の住民投票は、第二次ブームの中で捉え得よう。 4.各国の法制度の特徴、その用いられ方、従来の憲法原理との関連については、各国毎に検討した。
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