「『法の支配』復権をめざして」と題する私の研究は、リベラリズムと法の支配とが密接に関連しているのではないか、また、デモクラシーが法の支配思想を浸食してきたのではないか、という着想に端を発している。 この発想を論拠づけるために、まず第一に必要なことは、“リベラリズム"の意義と歴史的展開を明らかにすることであった。その後に、私は、リベラリズムと以て非なる“デモクラシー"の意義と歴史的展開を明らかにしたうえで、これをリベラリズムとを比較対照した。 以上の視覚のもと、この一年間(1997年度)試行錯誤してきたが、その成果は、近々、単著『リベラリズム/デモクラシー』(有信堂)として公刊されることになっている。 残された課題は、法の支配がリベラリズムと親和的であり、デモクラシーのもとで危機にさらされてきたことを論証することである。次の1年間(1998年度)で、この課題に私なりの結論に到達して、単著『法の支配・市場・自由』(成文堂)と題して公刊する予定である。
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