(1)諸外国における実験法律の基礎文献研究を平成9年8月まで実施した。とりわけ、ドイツ及びヨーロッパにおける実験法律の基本文献を購読した。この過程において、わが国で本格的な研究のなされていない「実験法律」の法的構造を解明した。とりわけ、ドイツにおける実験法律の議論状況及びヨーロッパにおける同概念の研究状況を分析し、実験法律の登場の背景、その類型区分、法的特色、法的限界論に焦点をあてて考察を進めた。 (2)わが国における実験法律の基礎文献研究として、同年10月まで日本の時限立法・経過措置規定に関する主要論文を購読した。その上で、上記の外国法研究の成果をふまえ、比較法的視点の下に日本の立法実務に関する議論状況を把握した。 (3)日本における実験法律の実態研究を同年11月から平成10年2月にかけて実施した。特に、法律の制定準備に当たる官僚に面談調査を実施し、わが国の実務における法律の基本的な概念や、近時見られる経過措置規定・時限立法の増大といった現象の分析を試みた。 (4)研究の成果の公表(平成10年1月) 上記(1)及び(2)の研究の進展状況を中心に、研究の途中経過を整理した。具体的には、本年度で明確化できた点を「実験法律の法構造」と題した論文にまとめ、有斐閣より刊行された著書(成田頼明先生古稀記念論文集『政策実現と行政法』)で公表を図った。
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