(1) これまで実施した研究(諸外国における実験法律の基礎文献研究)をとりまとめ、大橋洋一「コミュニケーション過程としての現代行政システム」 『20世紀システム第5巻 グローバル化と国家』 (東京大学出版会・1998年)150頁・177頁として公表した。これは、前年度の研究成果として公表した論文(大橋洋一「実験法律の法構造」(成田頼明先生古稀記念論文集『政策実現と行政法』有斐閣))をふまえて、グローバル化する国際環境の中で、法律を始めとする伝統的な公的行為の機能が変容する点を様々な角度から論じたものである。 (2) 1998年8月23日から9月6日には、ドイツ・ハイデルベルク大学において研究報告を行い、本研究の成果について同大学のシュミット・アスマン教授等と意見交換の機会をもった。帰国後、11月14日には日独法学会(東京・ドイツ文化センターで開催)において行政指導に関する報告を行い、その際にドイツ人参加者との間で、日独の行政システムの相違について実験法律の問題も含めて討議の機会を持った。 (3) 98年10月以降は、わが国における個別立法の制定過程研究として、近時制定された行政改革関連の法律を、とりわけ制定過程の実証分析をふまえて考察した。その際には、各省設置法の法的意義も合わせて分析し、日本の立法実務に関する議論状況の把握に努めた。現在進行中の地方分権の議論において、条例についても実験法律と同様に、実験の要素が重要となりつつある点も研究の機会をもった(成果は、大橋洋一「機関委任事務の廃止と権限委譲の推進」ジュリスト1127号(1998年)である)。 (4) 1998年12月以降は、上記(1)から(3)の研究の進展状況を中心に、研究の途中経過を整理した。
|