1996-7年の地方分権推進委員会の勧告(第1-4次)では、都市計画分野においても自治事務化に向けての積極的な提案がみられるが、地域の個性に見合った土地利用計画を実現し得るようにするには、なお多くの問題が残されており、より抜本的な観点からの制度の見直しが必要とされる(1998.1の都市審答申も同様の限界を免れない)。 この点に関し、土地利用計画の日仏比較の視点から、次のような指摘がなし得るように思われる。 1.土地利用規制の適用範囲について、日本では縦割構造をとる結果、都市計画法上の規制が及ばない広大な領域が存するが、仏では、全国土をカバーするRNUが存在し、市町村計画であるPOSの空白を埋める機能を果たしている。 2.規制の強度・根拠について、美観規制を取り上げると、仏では、これは警察的な公共の関心事としてとらえられており、当然のごとく強い拘束が私所有権に及んでいる。日本ではこのような視点は残念ながら欠落している。 3.規制のきめ細かさについて、日本の法律はわずかの規制項目しか持たないのに対し、仏の法律は多様な規制項目を提供しており、規制権者のもつ選択肢を豊かにしている。 4.自治体の自主立法権について、日本では条例による土地利用規制について抑制的傾向が支配的であるが、仏では法律の枠付けが緩いため、市町村による自律がかなり広く保障されている。すなわち、規制項目の多くは任意的規制事項であること、各規制項目の具体的内容についても、法律はオープンな構造となっていること等である。 5.都市計画の策定における市町村議会の役割について、消極的な日本と積極的な仏とは対照的である。 6.土地利用規制に対する住民の関与についても、計画策定への参加、計画に対する訴訟可能性の2点において、消極的な日本と積極的な仏の対照的な構図が見られる 以上。
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