研究課題/領域番号 |
09620023
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
国際法学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
横田 洋三 東京大学, 法学政治学研究科, 教授 (90052266)
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研究分担者 |
岩沢 雄司 東京大学, 総合文化研究科, 教授 (20114390)
大沼 保昭 東京大学, 法学政治学研究科, 教授 (50009825)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1999
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キーワード | 国際人権法 / 国際人権法の国内実施 / 国連人権機関 / 自由権中心 / 個人権中心 / 国際人権条約機関 / 文際的アプローチ / 国際人権基準 |
研究概要 |
伝統的な国際社会の法秩序のもとでは、国際法は国家間の権利義務を規定し、個人の権利義務は、人権を含めて国内法が規定してきた。しかしこの分業関係は、第二次世界大戦後の国際法の発展、とくに国連などの国際機構の発達と個人や企業などの非国家行為主体の国際社会における地位の確立によって崩れつつある。わけても人権の分野では、世界人権宣言にはじまる国連等の場における国際的立法作業の進展によって、人権に関する詳細な規定が国際人権規約、女子差別撤廃条約、児童の権利条約等の人権関係条約の締結を通して、国際法上直接与えられるようになった。その結果、人権に関する国際法と国内法の関係の問題が、理論的にもまた実践的にも問題となってきた。本研究は、この人権をめぐる国際法と国内法の関係を、とくに国際人権法の国内実施の視点から検討したものである。 序論では、国際人権法の国内実施の問題が生じた背景とそこに含まれる法律上の問題を概観した。次いで第1章では、とくにこれまで学会において検討がなされてこなかった「国連人権機関や国際人権条約機関の決議、見解等の国内的意味」について検討し、[これらの文書に見られる勧告等は、法的拘束力はないが、誠実に尊重する政治的、道義的責任がある」と結論した。第2章では、国際人権規定が歴史的に欧米の思想に強く影響されて自由権中心、個人権中心に偏りがちであったことの問題性を指摘し、世界の主要文明の考え方を反映した文際的アプローチによる新しい基準設定の必要を論じた。第3章では、とくに日本の裁判所における国際人権の適用状況を判例研究を通して検討し、以前は日本の裁判所は国際人権法の適用を避ける傾向があったが、最近は国際人権規約や人種差別撤廃条約などの国際人権規定を、解釈・適用する判例が増える傾向にあることを結論づけた。
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