研究課題/領域番号 |
09620028
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
民事法学
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研究機関 | 千葉大学 (1999) 福島大学 (1997-1998) |
研究代表者 |
菅原 郁夫 千葉大学, 法経学部, 助教授 (90162859)
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研究分担者 |
佐藤 達哉 福島大学, 行政社会学部, 助教授 (90215806)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1999
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キーワード | 民事訴訟 / 証人尋問 / テレビ会議システム / 証言心理学 / 法心理学 |
研究概要 |
本研究では、新民事訴訟法(平成8年6月26日法律第109号)が新たに導入したいわゆるテレビ会議システムによる証人尋問に関し、その機能を検証すべく各種の実証的検討を試みた。具体的には、映像による証人尋問と直接対面での証人尋問との間で実験的に比較を行い、裁判官の心証形成、弁護士の尋問行為、証人の心理的評価にそれぞれどのような差異が生じるのかを検討し、最後に、テレビ会議システムの利用形態一般の将来的展望を試みた。その結果、裁判官の心証形成に関しては、テレビ画面の画質を高品位に保つことによって、テレビ会議システムによる尋問も直接対面型の尋問に匹敵する心証をもたらしうること、また、尋問者や証人の印象評価においても、感情伝達の点においてテレビ会議方式の方が対面方式よりも若干評価が劣るものの、その他の点においては、両尋問方法の間で、大きな評価の開きのないことが確認された。また、テレビ会議システムの一般的研究状況に関し、関連文献の調査では、1996年以降とくにテレビ会議システムの応用に関する研究が増加し、とくにその発展はビジネス、教育、医療といったものが多いが、法律関係の領域においても徐々に研究が増えつつあることが解った。各種領域で開発されたノウハウが法律分野にも応用されるようになることが期待されるところである。 以上の研究成果を通じていえることは、テレビ会議システムを用いた証人尋問は、少なくとも事実認定の正確性の側面では、一般に考えられるほど弊害の大きいものではない可能性があり、かつ、用い方如何によっては直接対面型の尋問よりも優れている場面さえあるということであった。その意味で、今後は、テレビ会議システムによる尋問の特性を踏まえた、利用場面に対する細やかな議論もなされて行くべきであろうとの結論に達した。
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