本年度は、まず、特定非営利活動促進法(NPO法)の検討を行った。本法は、1998年12月1日に施行されたが、法人申請の数はそれほど多くない。その理由は、税制上の優遇措置が見送られたため法人化のメリットがないこと、法人化に伴って監督官庁への報告などの事務量が増大すること等が挙げられる。税制面では、一定の条件を満たすNPOへの寄付金は所得から控除できる税制を導入する必要がある。また、法人にかかる地方税が心配という組織もある。地方税を免除することを決めた自治体もあるが、すべての自治体がそのような税制を導入することが望まれる。事務量の増大という批判に対しては、実態調査が必要である。NPOに関しては、ボランティアであり、関係者は無償労働である、との理解が我が国では強い。しかし、NPOの活動を強化するためには、有償で働く有能な人材が必要である。例えば、ドイツでは、国や地方自治体がNPOの人件費を援助している。我が国でも、神奈川県で、介護サービスのコーディネーターの人件費の公費補助を可能にするための「在宅福祉非営利市民事業支援条例」をつくる市民運動がある。この運動の成果を期待したい。次に、我が国では、相変わらず、行政主導の公益法人の弊害が目立つ。例えば、郵政弘済会という郵政省の財団法人では収益事業が公益事業の100倍の規模で行われている。このような「官益法人」をどうするかは、行政改革の重要課題である。この点の実態調査は今後の課題としたい。
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