現代型紛争において審理のあり方と紛争解決の方策について研究を進めた。この種の紛争では争点が多岐にわたり、証拠調べの手続にも多大の時間と費用を要する。また、紛争解決の方策についても、判決の形式で示すだけでは不十分である。このような問題意識のもとに、争点および証拠の整理手続、進行協議期間のあり方を検討した。特に、公害訴訟などの多数当事者訴訟においては取り調べなければならない証人が多数いる。あるいは鑑定の必要性も高いことなどもあって争点整理手続あるいは証拠の整理手続が有効である。 紛争解決の方策については、これまでも和解が多く選択されていた。新民事訴訟法でもこの傾向は変化していないが、その他に定期金賠償の判決とそのごの変更判決、あるいは損害額の認定について証明の負担ないし心証度の引き上げなどの方法により、被害者の救済をはかっている。紛争解決の方法にも多様化が認められる。 少額訴訟手続においても、裁判所および裁判所書記官の主導のもとに紛争解決の方法が選択される。その方策として、通常の民事訴訟手続よりも、なお和解志向が強い。裁判所の裁量による分割支払い、あるいは、支払猶予などの判決も多くなされている。
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