研究概要 |
1,本年度具体的に実施した研究・調査は,「家族経営協定」実施地域での実態調査が中心であり、研究費の多くをこれに充てた。例すれば、滋賀県草津市,熊本県山鹿市・鹿本町・植木町・横島町、大分県山香町、愛知県安城市,沖縄県具志川市・沖縄市のほか、全国的にも家族経営協定の先進県である群馬県内の調査を高崎市・館林市・尾島町・大間々町・板倉町などで行った。沖縄県を対象としたのは平均耕地面積は全国一少なく、離婚率は全国一高い(女性の地位が高いので、関心が高かった。沖縄では正当な男系に農地を継承させることが理念である。したがって、登記された所有者でも正当な相続人の前に覆り、農地の相続・所有権の確定に非常に混乱する事態のあることを知った(次年度の課題か)。ところで、西日本で家族経営協定の最も先進的な熊本県鹿本町では、優れて積極的な担当者の人事移動が協定の衰退(組織として実質的な機能停止)の結果をもたらしており、協定が推進担当者の人となりに顕著に左右されることも理解された。 2,計画の重要項目=アンケート調査については,われわれも意見具申した全国農業会議所と全国農業経営改善支援センターの共同で行われた「家族経営協定の取り組み状況について」の結果が9月に出され、今後の調査等にその集計結果を活用させていただくこととした。 3,前年度の調査等で関係者から特に要望されたことの1つは家族経営協定前史としての江戸時代の親子契約の研究成果であった。これについては,短大紀要に発表した(裏面参照)。 4,次年度の課題は、群馬県内,特に高崎市の場合の徹底した実態調査と報告である。それに近年急速に家族経営協定の盛んな隣県栃木県と共同研究者が各自のテーマに沿った調査・報告をなすことである。
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