研究概要 |
1.今年度具体的に実施した研究・調査は,「家族経営協定」実施地域のうち,京都府南山城村の補充調査と,群馬県内の高崎市(ここは昭和35年度から継続的に家族経営協定を結んできた先進地である)等である.高崎市では,特に法人化している(有限会社)の農家3軒の時系列的に考察できる家族経営協定書を最終的に入手できたので,研究ではこれを対象にした佐藤論文に結実した.また,家族経営協定の締結は,女性の農業者年金加入やその地位の向上(男女共同参画とリンク)を目的としている側面があるが,従来の調査資料から特に経営移譲後の収益分配に関する規定に着目した渡辺論文は,研究室の移動という学内的な要因などで十分な検討がなしえていないが,会計学からアプローチとして特筆されよう. 2.平成9年(初年)度に研究分担者であった小林公能氏は定年退職し(雇継ぎされず),分担者からは外れたが,全国農業会議所の2年にわたる取り組み調査データに基づいて,農業後継者と家族経営協定の実施との相関という論文をいただいた(残念なことに経営作目との相関が把握できず,生き残る農業とはという本来のテーマには及ばなかった). 3.研究代表者は,昨年度の論文が若干要約され,『農政調査時報』に転載されたように,現実に家族経営協定を立ち上げようとしている現場の職員たちから協力を要請され,講演や座談会などに出席し,家族経営協定締結やその調印式にも出席して祝辞を求められた.副次的であるが本研究の社会的寄与である.
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