研究課題/領域番号 |
09620048
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
香川 孝三 神戸大学, 国際協力研究科, 教授 (20019087)
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研究分担者 |
藤川 久昭 青山学院大学, 法学部, 講師 (30286223)
新谷 真人 北海学園北見大学, 商学部, 助教授
吉田 美喜央 立命館大学, 法学部, 教授 (70148386)
村岡 真知子 (神尾 真知) 帝京平成大学, 情報学部, 助教授 (80219881)
林 和彦 日本大学, 法学部, 教授 (90189639)
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キーワード | 労働法 / 経済発展 / アジア / 労働基準 / 経済の自由 / 開発独裁 / 労働組合 / 団体交渉 |
研究概要 |
アジア諸国の労働法は、旧宗国の労働法の影響を受けて形成されたが、独立後工業化による経済発展という政策目標によって、次第に変容をとげ土着化していった。権威主義的体制(開発独裁)のもとで行政主導の経済発展政策が採用され、それを実現するための手段として労働法がとらえられてきた。つまり富をいかに拡大するか、そのために労使協調関係を維持しつついかに高い効率化を達成するか、さらに経済発展の前提要件としての政治的安定をいかに確保するかが労働法に科せられた役割であった。そこで強制登録労働組合制度を導入し、登録要件に会わない組合を非合法組織として、その存在や活動を弾圧の対象としている。これによって政治的安定を阻害する労働組合を排除し、政府主導によって労使協調関係を築くことを目指している。労働基準を定める法律も経済発展の足かせとならないように配慮する内容しか定めていない。それさえも順守されない状態に置かれている。しかし、高度な経済発展を遂げつつある現在のアジア諸国でその状態が続けられるだろうか。権威主義的体制に疑問が提起され、民主化への動きが生まれてきたからである。これは経済的には富の公平な分配を求めていることを意味する。そのために結社の自由を保証して団体交渉による労働条件の設定機能を労働組合に認めること、さらに労働基準を定める法律を順守し、その内容を改善していくことが求められ始めている。ところが、アジア諸国では労使自治による団体交渉は進みにくく、政府主導による三者主義が労働条件決定に大きな役割をはたしていくのいではないかと思われる。先進国の労使関係とは少し違う方向に向かっていると考えられる。
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